2010年9月2日木曜日

「国連地球生きもの会議」という通称

生物多様性条約COP10の「国連地球生きもの会議」という通称、少なくとも朝日新聞はよく使っているようだが、私は好きになれない。事態の深刻さが伝わってこない。これまで「生きもの関係」の話題は、好事家の趣味のような軽い扱いをされてきた。生物多様性の危機の問題をわかってもらうには、「親しみやすさ」よりも事態の緊急性や深刻さを伝えるべきだ。

「生きものが減っている問題」といった表現では、「外来種が来て種類が増えたんじゃない?」とか「シカは増えてますけど?」のような疑問を招くだけだ。正確に表現しようとすると「生物多様性」という言葉を使わざるをえない、この「喪失」を丁寧に説明してわかってもらうしかない。

止まらない開発、過度に効率性を追求した農業、押し寄せる外来種といった脅威にさらされ、生物多様性の喪失はどうしようもないほど差し迫った問題になっている。このことが人間社会に大きなコストをかけ始めていることも認識されている。COP10が開催されるのはこの問題を理解してもらうチャンスである。牧歌的な言葉では、これまでの「もの好きな人たちが騒いでいる」という認識を変えることはできないのではないか。