2008年7月7日月曜日

反復説再来?

河川や湖岸の水辺の湿生植物やアサザのような浮葉植物は、実生期には冠水耐性が極めて弱く、「湿っているけれども冠水しない」時期・場所で発芽する。成長とともに冠水耐性を獲得し、水草らしくなる。

先々週、マイコループさんのゼミでこの話をしたとき、参加した方から意外だと言われた。フィールドで植物をみていると当たり前になっていたが、改めて考えてみて、次のことに気づいた。

「生活史ステージによって異なるハビタットを利用する生物において、生育初期段階に利用するハビタットは、その生物の系統的祖先のハビタットである。」という傾向があるんじゃないかな。

あてはまる例
・アサザは陸上で発芽し、成長とともに地下茎で水中に入っていく。被子植物だから祖先種は陸上植物である。
・両生類の多くは幼生期を水中で過ごし、成熟すると陸に上がる。両生類の祖先(魚類)は水中の生物である。
・サケは川で生まれ、海に回遊する。サケの祖先は川の魚である。
・ウナギは海で生まれ、川に回遊する。ウナギの祖先は海の魚である。

トンボの祖先なんかはどうなんだろう。

これって「○○の法則」みたいので既にあるのだろうか。

研究室のKくんに話してみたら「個体発生は系統発生を繰り返すってやつ?」とのこと。ううん、なるほど。トンボ研究者のKくんはこの法則には懐疑的なようだった。

妻に話したら最初は感心してくれたが、ついでに「鳥の祖先は爬虫類だからヒナは陸上生活だ」と言ったら、バカじゃないの、といわれた。新法則!?を確立するにはもう少し洗練が必要そうだ。「異なるハビタットを利用する」という部分をもう少し精密にする必要があるだろう。