2008年7月16日水曜日

浮島湿原7月



今年は月1-2回の頻度で霞ヶ浦湖岸の浮島湿原(妙岐の鼻)に通っている。ヨシ原の地面に這いつくばって植物の実生にマーキングし、生死を追跡する。昨日は7月の調査を終えてきた。

浮島湿原は霞ヶ浦最大、関東平野でも有数の規模を誇るヨシ原で、全国・県レベルの絶滅危惧植物が20種近く生育する生物多様性のホットスポットである。またヨシ-カモノハシ群落という独特の植生が残る。屋根材としての利用のためにカモノハシやヨシの刈取りが現在でも行われており、さらに、ここ数年は停止されているものの、火入れも行われている。これらの伝統的な植生利用・管理と植物の多様性の関係を研究している。


クサレダマ。後背湿地のヨシ原の中で咲く。全国的に見れば珍しい種ではないが、関東平野で見られる場所は結構限られる。

ハンゲショウ。浮島湿原では自然堤防の後背湿地側の縁に特に多く出現する。

昆虫もいろいろ。

オオルリハムシ。シロネを特異的に食べるという、とってもきれいな甲虫。

この湿原の植物多様性のカギであると睨んでいるのが、カモノハシという植物である。昨日は開花が始まっていた。

二又に分かれる穂を鴨の嘴に見立てた和名だ。この嘴を開いてみたら、ほとんどの穂の中にアザミウマがいた。風媒花につくアザミウマって珍しいんじゃないかな。

「ヨシ原」にもいろいろなタイプがあるが「攪乱型のヨシ原」の本来のフロラがまだここには残っている、と思う。
本当に、本当に大切な場所。