2009年12月26日土曜日

古事記の起源

工藤隆著「古事記の起源―新しい古代像をもとめて」読了。

古事記は物語り全体としての整合性よりも、それぞれの場面場面が何のメタファーなのかを考えた方がおもしろい。以前からそう思っていたので、古事記の起源を多様な口承伝説にもとめたこの本のスタンスはとても納得がいった。古事記の様々な場面には、長江流域の口承伝説だけでなく、インドネシアなど東南アジアの神話との共通性が多く見られるという。

2009年12月20日日曜日

「狂い咲き」の傾向

気候の年変動で、例年とは異なる季節に開花するあるいは展葉・落葉する、といったフェノロジーの「異常」は、野生植物よりも人為導入した外来種や栽培品種の方が多いのではないか、と思うのだが、そんな統計ってあるのかな。その場所で自然淘汰をうけていないぶん弱いんじゃないか、という単純な発想なのですが。
関連のことご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけると嬉しいです。

うちの庭ではカロライナジャスミンが咲き始めてしまいました。アジサイは品種によって常緑化しています。

「植物のようにモジュール性の生物の方が、モジュールによってフェノロジーのシグナルにする環境要因が異なるため、中枢神経系で統合されている生物よりも気候変動による適応度の低下が生じやすいのではないか(葉はすっかり休んでいるのに花ががんばってしまうとか)」ということを考えながら、今日は庭の手入れをした。

2009年12月6日日曜日

1/125000のヤハラさん

少し前になるが妻から「ちーがお風呂上りに『ヤハラさーん、ヤハラさーん』と言っていて気持ちが悪いので『それ誰?』ってきいたら、『いつもいっしょに』のうさぎさんのお母さんのことだって。ワケわからん」というメールがきた。「ちー」とはうちの息子(4歳)、「いつもいっしょに」は絵本のタイトルで、うさぎは出てくるがそのお母さんはでてこない。

うちで子供の前でY教授の話をしたことはないから、おそらく何となく面白い言葉として「ヤハラさん」を言っているのだろう。最近、そういうデタラメ語が彼の中では流行っているから。3文字の言葉をデタラメに口にしたとして、それが偶然生態学会長のお名前になる確率は50の3乗分の1か。

2009年12月5日土曜日

「今後の治水のあり方」に「環境」の視点は

八ツ場ダムのことがこれだけ話題になっていても、新聞やニュースでは「住民vs.前原大臣」「建設コスト」の話題ばかりで、環境のコストのことは全くといっていいほど取り上げられいない。これはマスコミは単純な対立図式を描きがちだからであって、国交省ではダムに伴う環境破壊についても改めて検討しているものと思っていた。

しかし実情は、、本当に環境のことは考慮に入っていないのかもしれない。
今週の木曜日に「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が開かれた。「今後の治水対策について検討を行う際に必要となる・・・新たな評価軸及び総合的な評価の考え方等を検討する」という目的の会議に、生態学の研究者が一人も入っていないというのは。

新しい視点の治水を考えるとき、ある程度の氾濫を許容する社会づくり、水田などの農地の遊水地としての活用、といった視点は欠かせないだろう。この問題は氾濫原を利用する生物の多くが絶滅危惧種になっている事態とセットで議論されるべきなのではないだろうか。