2010年3月28日日曜日

モニ1000とシイタケの日

モニタリングサイト1000の調査で霞ヶ浦・浮島湿原へ。もうノウルシが咲いていました。小貝川より少し早いみたい。

午後は石岡に行きTYさんからシイタケの原木をたんまりいただき、ついでに菌の調達まで頼んでしまいました。原木を車に積み込みながら、中学生時代「しいたけ委員」だったことを思い出しました。私が卒業した東庄中学校では1年生は花卉(菊栽培)、2年生は畑で芋や野菜の栽培、3年生は椎茸栽培をしていたのです。しいたけ委員会は放課後遅くまで残り、菌の植え付けをしたり、原木の積み上げをしたりしました。菌を植え付けた上から塗るための蝋を鍋で煮溶かしていたっけ。今でもシイタケの原木をみるとパラフィンのにおいを思い出すことがあります。

2010年3月27日土曜日

タネの見分け

自宅で印旛沼湖底から採取した種子サンプル処理。オニビシの種子数をちーといっしょに数えた。途中でちーが「あれ?これ違うねー」というので見てみると、オニビシのサンプル中にヒシの種子が混ざっていた。お前はすごいな!

うちの子はタネが好きで、それは母親の影響だと思う。

妻の種子同定能力には本当に驚く。先日も、これはわからないだろうと思って研究室で食べたバンレイシのタネを持ち帰ってみせたら、一瞬で「チェリモヤだ。バンレイシでしょ。」だって。知り合いの顔はすぐ忘れるのに一度見たタネは忘れないようだ。

2010年3月26日金曜日

保全生態学研究会の解散

生態学会東京大会の一連の行事が終わった。

初日の委員会から、最終日の自分が企画担当者を務めた公開講演会まで気が抜けない一週間だった。いろいろなことがあった今回の大会だったが、自分にとって最大のできごとは、20日午前に行われた保全生態学研究会の解散イベント「保全生態学の技法」自由集会だった。じつは午後の公開講演会の準備のため私自身はこの集会に参加できなかったのだが、保全生態学研究会が解散したという出来事は、自分にはとても大きなことなので。

「保全生態学の和文の学術雑誌をつくろうと思うんだけど、手伝ってくれますか?」修士論文が一段落した1995年度末に、指導教員の鷲谷先生に声をかけられたのが始まりだった。その少し前に「保全生態学入門」の草稿を読ませてもらい、先生の並々ならぬ「決意」を感じていたのだが、ついに動いたんだな、と思ったのを覚えている。

「保全生態学研究」の発行を主な活動内容とする「保全生態学研究会」は1996年4月に結成された。私はずっと事務局として名簿の管理などの庶務や雑誌の編集を手伝ってきた。一つ後輩のS.A.さんと夜中まで作業をしたことを昨日のように思い出す。はじめは小規模なサークル活動だった研究会は、その後急速にメンバーが増え、発足から6年後には500人に達した。そして、少なくとも生態学会くらいの範囲では「市民権」を得た2003年に、「保全生態学研究」の発行権を日本生態学会に委譲した。

それでも研究会は、生態学会での自由集会の開催などの活動を続け、保全生態学の新しい方向性を提案してきた。一方、生態学会に発行主体が移った「保全生態学研究」は、松田先生、湯本先生、角野先生という名編集長のおかげで、学会の第二和文誌として知名度がどんどん上がり、生態学会員の増加にも貢献するようになった。投稿数も増え、表紙もきれいなカラー写真になり、魅力的な雑誌に成長したと思う。同時に、当初は「あやしまれて」いた保全生態学という研究アプローチは、生態学会の中の主流の一つとなった。これは昨今の大会の一般講演の傾向を見てもあきらかである。

私が学生の頃、2つ後輩のC.M.さんが保全を目的としたテーマで博士論文を書きたい、と言い出した時に、周囲の先生方から、それでは学位審査が通らないから保全の研究は研究者として自立してからにすべき、と言われていた。それも今は昔である。

この段階に来てようやく、鷲谷先生のつくった「保全生態学研究会」は、日本における保全生態学の紹介と普及という当初の役割を終えたと感じるようになった。もうこの会がなくても、日本から保全生態学の火が消えることはない。

しかし保全生態学研究会は、まだ2003年までに会員の皆さまからお預かりした会費をもっていたので、簡単に「おしまい」にはできない。なんとかこの会費を、保全生態学研究会の設立趣旨にかなう使途で使わなければいけない。いろいろと議論したが、最終的に選んだのは、「保全生態学の実用書を作成し、会員の方々に無料配布する」というものだった。こうして作られたのが「保全生態学の技法:調査・研究・実践マニュアル」である。私は編者・分担執筆者としてこの本の作成に関わることができた。

この本のあとがきには次のように書いた。
「従来の生態学の立場から「保全」に手を広げた世代を第一世代とすれば、本書の分担執筆者の多くは、この分野を最初から志して学問の世界に飛び込んだ「保全第二世代」ともよべる気鋭の若手研究者である。「現場に役立つ研究を進める」使命感をもち、最先端の知見・技術を日々貪欲に収集し、自ら新たな挑戦を続けている執筆者らの「現時点での最新のまとめ」である本書が、保全の研究者や実践者にとって実用的な手引きとなると同時に、これから保全生態学を目指す学生・研究者にこの分野の魅力と価値を感じてもらうきっかけとなれば幸いである。」
そうなったら、ほんとうにうれしい。

これからまた、少しずつ進もうと思う。