2015年7月25日土曜日

もっと「使える」保全生態学を目指して

(以下、Facebook に投稿した記事の転載です。)

このたび、日本生態学会の雑誌「保全生態学研究」の投稿規定が改訂されました。今回の目玉は「投稿資格の変更」です。これまで、論文の筆頭著者が日本生態学会の会員である必要がありましたが、これからは「著者の一人以上が生態学会員であればよい」ことになります。

この変更は、「生物の保全にかかわる市民・NPO・コンサルタント・行政などの方が中心になって調査結果や活動成果をまとめ、研究者がそれをサポートして論文にする」という形を奨励する意図があります。保全生態学研究では、以前から、原著論文だけでなく、他の地域で参考になる取り組みを紹介する「実践報告」や、貴重な調査報告を残す「調査報告」といった投稿カテゴリーを設けていますが、今後はこれらの報告がますます活性化することを期待しています。「こんな記録をしているんだけど論文になるかな?」というご相談も受け付けております。

基礎科学は英語中心で発展していますが、応用科学では、多様な「現場の人」が使いやすい日本語の論文にも大きな価値があります。保全生態学をもっともっと「使える科学」にしたいです。

ちなみに応用生態工学会の雑誌「応用生態工学」も、先月から、「第一著者あるいは連絡対応著者(corresponding author)が学会員であればよい」という形に規定変更して、以前よりも門戸を広げています。

これらの分野では、わかったことを論文にして公の知識にする「公表の文化」、政策や戦略を策定するときは査読付き論文を活用して文書中に明示する「引用の文化」の両方がまだ未熟です。もっともっと読み書きをがんばりましょう!

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