2016年7月19日火曜日

「どうするのがよいのですか?」

いろいろな地域で、市民の方といっしょに休耕田に池を掘ったり、河川や水路の手入れをしたりする機会が増えている。そこでかならずいただくのは「草は刈ったほうが良いんですか?」「池は深いほうがいいんですか?」「川と池はつないだほうがいいですか?」という類の質問である。

このようなご質問をいただくと、わたしはいつも「どうしたいですか?」とうかがっている。どんな湿地にしたいかによって、管理の方針が変わるからだ。すると「それを先生が決めてくください」というお答えをよくいただくことが多い。「私たちは、言われたようにやりますから」といわれたこともある。

そうではない。自然再生の目標は科学では決められない。目標は、その場所の将来に興味のある人たちが相談して決めるものだ。科学にできることは、その目標を実現するに適切と思われる方法(順応的管理の出発点になる仮説)を提示したり、いまのままだと将来どのように変化するか予測することだ。

目標設定は、価値観のかかわる命題である。科学が答えをだすものではない。(つづく)