2016年7月20日水曜日

「どうするのがよいのですか?」その2

ヨシ原になればセッカ類やカヤネズミが暮らせるようになるがコウノトリは採餌できない。ヨシを刈り取って田んぼのような場所を作ればカエルが増えてひょっとするとコウノトリも来るかもしれないがカヤネズミは営巣しない。多様な生物の暮らし場所は(局所的には)両立しない。その場所で何を目標にするかによって最適な管理はかわる。

何を重視するか、つまり価値観は人によって違うし、同じ人でも受け取る情報によって変わる。絶対的な価値観はない。「生物多様性を保全する」も価値観のひとつである。

研究者も価値観をもっている。それを表明していけないということではない。自分の価値観であることをはっきりさせた上で、ということが重要だろう。研究者以外の人とはちょっと違う視点からの「意見」は役立つことも多いかもしれない。

しかしその意見の表明は、科学からの情報提供とははっきり分けられるべきだ。科学からの情報提供とは「○○をしたほうがいい」ではなく「△△な状態にするためには○○をすることが効果的だと予想される」という形でなされるものだと思う。この「・・ためには」の内容は、価値観のかかわる命題で、合意形成が必要な部分だ。(つづく)