2008年11月11日火曜日

豊岡

一昨日までの3日間,豊岡市に出張した.来年度から新しく始める学生実習の下見と打ち合わせが目的である.

コウノトリの野生復帰で有名な豊岡だが,全国各地と同様に近年シカの増加が問題視されているという面もある.たしかに林床は「スッキリ」してしまっているところが多い.農業被害で,地元の方には本当に頭のいたいことだろう.一方,シカの恩恵を受ける植物もいるかもしれない.光をめぐる競争に強い大型の草本が食べられ,同時に土壌が踏み荒らされることで,攪乱依存性の植物のハビタットがつくられるという面もあるのではないか.

シカの個体数管理は必要なのかもしれないが,その場合でも,シカの生態系機能をよく把握した上でやらないと,思わぬ問題を引き起こすだろう.人間の利用のための植物の刈り取り・持ち出しが減少し,物理的な攪乱も減少しがちな里地・里山では,シカによる捕食や踏み付けがけっこう役に立っている場面もあるかも.