2009年3月29日日曜日

草薙の剣

27日金曜日は浮島湿原での野焼き準備で、プロット設置の続きと防火帯作成を行った。
ここでの研究をすすめてくれるW君が草刈機の使い方を覚えてくれて、とても心強い。

植生管理をするためには火を扱う技術が重要で、火を扱うためには草刈の技術が不可欠だ。適切な場所で草を刈って防火帯としたり、燃料となる枯れ草の量を刈り取りによって制御して火を入れることで、目的とした強さ・範囲の火入れが可能になる。「火の使い方」は保全生態学の技法としてもとても重要。W君は実践的保全生態学者として頼もしい一歩を踏み出した。

肩掛け式の草刈機は使い慣れると本当に便利でありがたい。「草薙の剣」と呼びたくなる。

・・・ヤマトタケルが草薙の剣で野火を難を逃れた神話は、畑あるいは水田管理のために火を積極的に活用し始めたことを表した神話なのではないか、と思っている。草薙の剣はもともとはスサノオがヤマタノオロチを退治して獲得したものとされている。オロチ退治は、八筋に澪を分けながら暴れる川を制御(退治)して、水田を開拓した(奇稲田姫を手に入れた)物語であるという解釈がされている。「東征」に向かったヤマトタケルがかつて(遠い祖先神が)オロチ退治で得た剣を使って「草薙」をした話は、大陸から西日本に伝えられ水田開墾技術が、東国の土着の文化である「火の使用」を取り入れながら、より高度な農業技術として展開した物語なのではないか。。。そう考えるととても面白い。

・・・それはともかく、今回の実験準備で、現代社会で野外で火を使うということがいかに大変かがよくわかった。連絡・通知した先は、土地所有者、市役所、消防署、駐在所、区長さんなど合計9件になる。

実はこの日記を書いているのは作業の2日後。金曜日は過労で寝込んでしまった。明日は防火帯作成の続きを終わらせ、明後日に火入れ予定。