2009年3月2日月曜日

地域動植物史

来年度の学生実習で新たなフィールドにする兵庫県豊岡市から取り寄せた大部の「豊岡市史(上下巻)」を数日がかりで読んだ。読んだといっても全てを精読したわけではなく、実習の内容と関連しそうな部分を探しながら全ページをめくっただけだが、それでも地域の歴史の概要を知り、風土の特徴をなんとなく理解することができた。

このような市町村史は全国で編まれていて、それぞれの地域の歴史を知る上で背景となる自然の特徴や、社会の成り立ちと変遷を知ることができるというのは、ほんとうに素晴らしい。同時に、市町村史の編纂には多くの、ある程度専門的な知識のある人が携わったのだから、そのような分野(自然・人文地理学、歴史学、考古学といったあたりかな?)は層が厚いんだろうな、と思った。市町村史を全国で編むことになった経緯は知らないが、専門教育を受けた人の就職先確保にもつながったんじゃないかな。

地域動植物史を全国でつくったらいいと思う。現状を記録した「生物誌」ではなく、歴史を検討した「史」。地域ごとに、過去に分布していた生物を文書資料、標本、地形の変化などから検討してまとめる。難しい検討になるが、たとえば自然再生の目標を考えるときなど、とても有益な資料になるだろう。全国で組織的に実施して、自然史の教育を受けた人の就職先確保にもなるといいのに。