今日は宮城県の蕪栗沼へ。土浦でレンタカーを借り、石岡で草刈り機を積み込み、常磐道・東北道を走ること5時間で到着。昨日までの名古屋はとても蒸し暑かったので、ひんやりした空気がとても清清しく感じられる。
蕪栗沼周辺は、冬季湛水をはじめとした生物に配慮した稲作農法が成果をあげ、世界で初めて水田を含めた湿地がラムサール湿地に登録されたことで有名な地域である。今回はじめて訪問したが、今日は現地を走り回って、この地域はもともと広い氾濫原であり、現在の蕪栗沼は水田開発に伴って造成された遊水地=治水施設であることがよくわかった。蕪栗沼は、周囲堤、囲堯堤、越流堤が整備されており、近代的な治水施設といえる。
水田がラムサール登録されたことも画期的だが、治水施設(洪水から人間の命と財産を守ることが主目的の施設)が登録された、というのも誇るべきことなのではないかと思った。そして、生物に配慮した農法の「水田」と、洪水の影響も受け野生的な自然が残る「遊水地」が隣り合って存在することで、多くの野鳥にとって魅力的な生息環境になっているということが、とても面白いと思った。日本の各地にこのような遊水地は存在する。その周辺で生物に配慮した水田耕作をすることは特別な効果を持つかもしれない。
さて、明日は6時におきて草刈り。今回の出張の主目的は、ここをフィールドに研究している大学院生のY君の手伝い。有機農業を悩ませている斑点米カメムシを抑制するための水田周辺の植生管理という意欲的なテーマに取り組んでいて、今回はランドスケープスケールの壮大な実験をしようというので、手伝いに来た。草刈りなら任せておくれ。
東邦大学で保全生態学を勉強している西廣淳のブログです。更新は断続的です。頻繁な情報発信はフェイスブックとツイッターでしております。 | Facebook https://www.facebook.com/jun.nishihiro | Twitter https://twitter.com/jnishihiro | 本業のウェブページ http://www.lab.toho-u.ac.jp/sci/env/coneco/
2009年7月23日木曜日
2009年7月21日火曜日
発表準備とインディアン祭り
明らかにお門違いというか分不相応というか、とにかく違和感がありつつも「アジア太平洋地域における生物多様性観測のネットワーク化のための国際ワークショップ」なる会合での発表を引き受けてしまった。未経験の場に向けて準備をする過程で新しいアイディアが生まれることもある、という自分勝手な理由で引き受けてしまったが、いよいよ本番が近づくと、「空気が読めてない」内容を準備してしまった気がして、なんとも落ち着かない。ましてや英語での発表なんてオソロシイとしか言いようがない。はい、でもがんばってきます。
この行事と連動して、7月18-20日には「生物多様性:特徴、保全、持続的利用」をテーマにしたASIAHORCs(アジア研究助成機関長会議)主催のシンポジウムが同じ会場(名古屋大学)であった。本当はこれにも参加したほうがよかったのかもしれないが、欠席にさせていただいた。理由は
めばえ幼稚園 の インディアン祭り
と日程が重なったから!
楽しかったなぁインディアン祭り。もう今から来年が楽しみである(その前に運動会か!)。
お祭りで盛り上がったテンションで家に帰り、フェイスペイントを落として、子供が寝てから発表準備を終えた。「空気を読む」必要なんてないんじゃない?という気持ちになった。
この行事と連動して、7月18-20日には「生物多様性:特徴、保全、持続的利用」をテーマにしたASIAHORCs(アジア研究助成機関長会議)主催のシンポジウムが同じ会場(名古屋大学)であった。本当はこれにも参加したほうがよかったのかもしれないが、欠席にさせていただいた。理由は
めばえ幼稚園 の インディアン祭り
と日程が重なったから!
楽しかったなぁインディアン祭り。もう今から来年が楽しみである(その前に運動会か!)。
お祭りで盛り上がったテンションで家に帰り、フェイスペイントを落として、子供が寝てから発表準備を終えた。「空気を読む」必要なんてないんじゃない?という気持ちになった。
2009年7月13日月曜日
7月の浮島湿原
W君と霞ヶ浦へ。
5月にマーキングした実生の生存率を調べるため、ヨシ原の中に這いつくばっての作業。
風があったからよかったものの、この季節のフィールドはさすがに疲れる。
予想通りの結果が得られ、研究成果の手ごたえが感じられた。予想通りの結果がでるとつい「面白い面白い!」とはしゃいでしまうが、W君には「意外な結果がでたほうが面白いです」と言われる。うん、それはそうだ。さすが大物である。
調査中に、突然、来週のフォーラムでの発表内容を思いついた。けっこう良いアイディアかもしれない。問題は新しい解析をやる時間が取れるかどうかだ。
5月にマーキングした実生の生存率を調べるため、ヨシ原の中に這いつくばっての作業。
風があったからよかったものの、この季節のフィールドはさすがに疲れる。
予想通りの結果が得られ、研究成果の手ごたえが感じられた。予想通りの結果がでるとつい「面白い面白い!」とはしゃいでしまうが、W君には「意外な結果がでたほうが面白いです」と言われる。うん、それはそうだ。さすが大物である。
調査中に、突然、来週のフォーラムでの発表内容を思いついた。けっこう良いアイディアかもしれない。問題は新しい解析をやる時間が取れるかどうかだ。
2009年7月5日日曜日
カワコンブって?
昨日の渡良瀬フォーラムで聞いた話.
旧谷中村ではお正月の昆布巻きは「カワコンブ」で作っていたそうです.カワコンブは水がきれいで流れが速い川の中に生えるもので,渡良瀬では赤渋沼から流れ出る川にはいっぱい生えていたとのこと.カワコンブってどんな植物でしょう?ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください.
カワコンブの話題も登場した佐々木さんのお話,面白かったなぁ.
地域に特徴的な自然を言い表すには地元の言葉が一番.私が「浅い水域や地下水位が0cm程度の過湿な立地がひろがっている状態が・・・」などとクドクドと説明していた状況は,「シベッチャレ」という一言で表現できるらしい.
川の形状に関する地域名で,蛇行の内周側は「オンマルメ」(おん丸め?),外周側は「フカンド」(深処?),合流部は「ワカサリ」(分さり?)はなんとなく由来も想像できたけど,直線部を「ウタリ」と呼ぶのは,どういう由来なのだろう.
旧谷中村ではお正月の昆布巻きは「カワコンブ」で作っていたそうです.カワコンブは水がきれいで流れが速い川の中に生えるもので,渡良瀬では赤渋沼から流れ出る川にはいっぱい生えていたとのこと.カワコンブってどんな植物でしょう?ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください.
カワコンブの話題も登場した佐々木さんのお話,面白かったなぁ.
地域に特徴的な自然を言い表すには地元の言葉が一番.私が「浅い水域や地下水位が0cm程度の過湿な立地がひろがっている状態が・・・」などとクドクドと説明していた状況は,「シベッチャレ」という一言で表現できるらしい.
川の形状に関する地域名で,蛇行の内周側は「オンマルメ」(おん丸め?),外周側は「フカンド」(深処?),合流部は「ワカサリ」(分さり?)はなんとなく由来も想像できたけど,直線部を「ウタリ」と呼ぶのは,どういう由来なのだろう.
2009年7月4日土曜日
宣伝(自然再生講習会)
まだ空席あります。奮ってご参加ください。(学割つくればよかったかな・・・)
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日本生態学会 第1回自然再生講習会
「あなたにもできる自然再生:生態学の視点から」
主催:日本生態学会
後援:応用生態工学会、日本景観生態学会、日本緑化工学会、
国土交通省、農林水産省ほか
企画:日本生態学会生態系管理専門委員会
日程:2009年8月1日(土曜) 13:30-17:00
場所:東京大学農学部1号館8番教室
定員 200人
参加費2000円
・参加者にはアンケートを提出していただき、その上で受講証明書を発行します。
・自然再生事業関係の書籍展示コーナーを設けました。ぜひ活用ください。
13:30-14:00 矢原徹一(九州大学・日本生態学会長)
「自然再生ハンドブック」について
14:00-14:30 渡辺綱男(環境省) 自然再生事業の進捗状況
14:30-14:40 休憩
14:40-15:30 三橋弘宗(兵庫県立大学/兵庫県立人と自然の博物館)
安室川自然再生事業について
15:40-16:30 津田智(岐阜大学) 小清水原生花園風景回復事業について
16:30-17:00 竹門康弘(京都大学・生態系管理専門委員長)
質疑応答、アンケート集約と閉会挨拶
連絡先 〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-7 横浜国立大学
環境情報研究院 松田裕之 matsuda@ynu.ac.jp
参加申込み方法 日本生態学会事務局 course@mail.esj.ne.jp
にメールで氏名、所属、メールアドレスの情報を添えて申し込んでください。返信を受け取った時点で受付終了します。なお、この申し込み情報は、今後の生態学会生態系管理専門委員会の関係行事案内以外には使用いたしません。
自然再生講習会ウェブページ http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2009/090801.html
-------------------
日本生態学会生態系管理専門委員会 (2005) 自然再生事業指針. 保全生態学研究. 10: 63-75
同委員会では、現在、「自然再生ハンドブック」を編纂中です。
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日本生態学会 第1回自然再生講習会
「あなたにもできる自然再生:生態学の視点から」
主催:日本生態学会
後援:応用生態工学会、日本景観生態学会、日本緑化工学会、
国土交通省、農林水産省ほか
企画:日本生態学会生態系管理専門委員会
日程:2009年8月1日(土曜) 13:30-17:00
場所:東京大学農学部1号館8番教室
定員 200人
参加費2000円
・参加者にはアンケートを提出していただき、その上で受講証明書を発行します。
・自然再生事業関係の書籍展示コーナーを設けました。ぜひ活用ください。
13:30-14:00 矢原徹一(九州大学・日本生態学会長)
「自然再生ハンドブック」について
14:00-14:30 渡辺綱男(環境省) 自然再生事業の進捗状況
14:30-14:40 休憩
14:40-15:30 三橋弘宗(兵庫県立大学/兵庫県立人と自然の博物館)
安室川自然再生事業について
15:40-16:30 津田智(岐阜大学) 小清水原生花園風景回復事業について
16:30-17:00 竹門康弘(京都大学・生態系管理専門委員長)
質疑応答、アンケート集約と閉会挨拶
連絡先 〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-7 横浜国立大学
環境情報研究院 松田裕之 matsuda@ynu.ac.jp
参加申込み方法 日本生態学会事務局 course@mail.esj.ne.jp
にメールで氏名、所属、メールアドレスの情報を添えて申し込んでください。返信を受け取った時点で受付終了します。なお、この申し込み情報は、今後の生態学会生態系管理専門委員会の関係行事案内以外には使用いたしません。
自然再生講習会ウェブページ http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2009/090801.html
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日本生態学会生態系管理専門委員会 (2005) 自然再生事業指針. 保全生態学研究. 10: 63-75
同委員会では、現在、「自然再生ハンドブック」を編纂中です。
2009年7月3日金曜日
ブログに書く内容
あまり深く考えずに書き始めたブログですが、気がつけば開始してから一年以上が経過していました。
それほど頻繁には書いていませんが、三日坊主暦30年の私にしては長く続いていると思います。自分に近い興味をもっている人への情報提供、自分のための備忘録、息抜き(←最近は主にこれ)etc.など、いろいろな意図で書いていますが、書き始めようと思ったときに、一つだけ決めたことがあります。
それは同業者(研究者)の仕事内容や主張に対する批判は書かないということです。研究者どうしの批判や議論は、論文や学会といった科学の場でやるべきです。それらの場はpeer reviewや同業者の監視など、一応(?)公平な議論ができる仕組みが確保されています。手続きとマナーを理解していれば、たとえ「目上」の人であっても批判することができ、その妥当性について第三者がコメントすることもできます。そのような仕組みがあることが、この業界の良いところだと思っています。
以前、自分の考えに基づいてやった仕事について、科学の場ではないところで批判されたことがあり、ずいぶんと悔しい思いをしました。それは、批判されたことそのものによる悔しさではなく、反論の場がないことの悔しさでした。論文や学会誌の意見文として掲載されたものであれば、ルールに基づいて反論ができます。でもそうでない手段による批判に反論するのは難しいです。「落書き」を引用して反論することはできないからです。といって、こちらも科学以外の場で反論しようとすると、泥仕合や子供の喧嘩じみたやりとりになってしまいます。匿名が可能な掲示板で消耗的な議論(?)をしたこともあり、だいぶ懲りました。
そんなわけで、「なんだかなぁ」と思うような同業者の仕事や主張についても、ブログには書かないようにしています。
それほど頻繁には書いていませんが、三日坊主暦30年の私にしては長く続いていると思います。自分に近い興味をもっている人への情報提供、自分のための備忘録、息抜き(←最近は主にこれ)etc.など、いろいろな意図で書いていますが、書き始めようと思ったときに、一つだけ決めたことがあります。
それは同業者(研究者)の仕事内容や主張に対する批判は書かないということです。研究者どうしの批判や議論は、論文や学会といった科学の場でやるべきです。それらの場はpeer reviewや同業者の監視など、一応(?)公平な議論ができる仕組みが確保されています。手続きとマナーを理解していれば、たとえ「目上」の人であっても批判することができ、その妥当性について第三者がコメントすることもできます。そのような仕組みがあることが、この業界の良いところだと思っています。
以前、自分の考えに基づいてやった仕事について、科学の場ではないところで批判されたことがあり、ずいぶんと悔しい思いをしました。それは、批判されたことそのものによる悔しさではなく、反論の場がないことの悔しさでした。論文や学会誌の意見文として掲載されたものであれば、ルールに基づいて反論ができます。でもそうでない手段による批判に反論するのは難しいです。「落書き」を引用して反論することはできないからです。といって、こちらも科学以外の場で反論しようとすると、泥仕合や子供の喧嘩じみたやりとりになってしまいます。匿名が可能な掲示板で消耗的な議論(?)をしたこともあり、だいぶ懲りました。
そんなわけで、「なんだかなぁ」と思うような同業者の仕事や主張についても、ブログには書かないようにしています。
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