2009年9月8日火曜日

ソロモンの歌

トニ・モリスン(金田眞澄訳)「ソロモンの歌」読了。

今年読んだ小説で間違いなく一番面白かった。
いろいろな読み方ができる小説だが、ぼくは、閉塞感のある時代や社会に対する3通りの対応を描いた小説として読んだ。3通りの方法の一つは「荒れる」、2つ目は「空に飛んで逃げる」、3つ目は「一度も地上を離れずに飛ぶ」である。3番目の方法はもっとも幸せそうだが、それを実現している人物(パイロット)は、臍をもたない、超人的に人間とした描かれている。結局、荒れるか・逃げるか、になってしまうということか。パイロットについての記述がもっと欲しかったが、その思わせぶりなところが小説の魅力になっている。この著者の作品は初めて読んだが、他の小説も読んでみたい。