2008年8月21日木曜日

東北水草旅行

3日間かけて,一関市内のため池,下北・小川原湖,津軽・十三湖とその南側の湖沼群をまわってきた.

一関で「農業と一体の自然」を堪能.ため池や田の畔が,湿地の植物の重要なハビタットであることを強く実感.

小川原湖.
 八郎湖は埋め立てられ,霞ヶ浦は水質悪化・堤防建設・水位改変で徹底的に痛めつけられ,日本の「大きな海跡湖の自然」はほとんど失われてしまった.そのような中,小川原湖ではまだ本来の姿を見ることができる.小川原湖があってよかった,とつくづく思った.霞ヶ浦で本格的に自然再生を考えるとき,この湖から学ぶべきことは多いだろう.
 しかし小川原湖でも栄養塩の濃度などは上昇傾向という.水質の悪化と水草の減少は直線的な関係ではなく,負荷の閾値を越えると植物は急速にいなくなる.そうなる前に適切な管理をして,なんとかこの自然を残したいものだ.

砂土路川河口付近の,浮葉植物(アサザ)と沈水植物(セキショウモ,イバラモ,クロモ,ツツイトモなど)が混生する群落.

セキショウモがちょうど開花期.らせん状に伸びる雌花の花柄.

津軽半島には,砂丘列の間に小さな湖沼やため池がたくさんみられる.



極楽浄土ってこんな感じ?行きの電車で湿原と信仰に関する本を読んでいたせいもあって「神秘」に触れたような気持ちになった.

ほんの3日間だったが,「早朝から日没まですぐれた自然を堪能して夜は深夜まで標本作り」という「自然史の時間」を心から楽しんだ.原点に帰った感じ.