自然再生推進法の協議会は、意思があれば原則として誰でもメンバーになれます。これまで行政が専門家を使いながら進めてきた検討に、市民の立場でも参加することができるわけです。
このことのメリットはいくつかあります。その一つに、あまり言われていないことですが、「行政の限界」を市民に知ってもらうことがあると思っています。行政は、いくつもの矛盾する要求、行使できる権利の限界、法律の文言に縛られながら仕事をしています。市民が行政の判断に意見することは意味のあることですが、一方的な批判は生産的ではありません。相互理解が不可欠でしょう。限界の中で努力している現実を知り、お互いが敬意をもって接することができなくては(もちろん努力していることが前提ですが)、生産的な議論は望めません。
自然再生推進法は、いろいろな立場の人に行政の矛盾や苦労を知ってもらい、生産的な議論ができるチャンスだと思います。でもそのためには、行政側も「腹を割る」必要があります。これは勇気がいることのようです。その勇気を発揮して、新しい関係が構築できた例は、ほとんどないかもしれません(思い当たる例は一つだけあります、いろいろ好条件が重なった例ですが)。
行政が、行政の現実を知ってもらうことをメリットと感じるようになると、自然再生も新しいフェイズに入るかもしれないな、と思います。