2009年9月22日火曜日

9月の渡良瀬

9月21日は今年度SPP(サイエンス・パートナーシップ・。。何だっけ?)の連携をしている小山西高校の観察会、20日はその下見で渡良瀬遊水地へ。

オオブタクサとアレチウリの繁茂がとにかく顕著で、観察会でもそれに触れないわけにはいかない。下見に同行した妻によると、妻が通っていた5~10年前と比べて随分増えているとのこと。冠水の減少なども影響しているのかもしれない。渡良瀬遊水地での湿地再生は、外来種対策をよほど重視しないと、単なる治水事業になってしまうだろう。

国交省がやっている試験掘削地も覗かせてもらった。
カンエンガヤツリ、タコノアシ、アオヒメタデ、サワトウガラシ、ミズワラビ、ウスゲチョウジタデといった攪乱依存種が多くみられたのは狙い通りというところか。

ただ全体に乾燥しやすい地形に造成されてしまっているので、セイタカアワダチソウの密度がとても高い。春のうちに周囲に掘ってしまった水路の出口に土嚢を積むなどして水位を上げておけば随分改善されたと思うが、ここまで放置してしまうと回復はだいぶ難しいだろう。


ワタラセツリフネソウを今回はじめて認識。ニホンミツバチが盛んに訪花していたが、ちょっと花が大きすぎるようで、葯には十分には触れていないようだった。やはりマルハナバチの花か。

2009年9月19日土曜日

モニ1000調査

18日は環境省のモニタリングサイト1000の調査のため霞ヶ浦へ。
里地里山、森林、海岸、湿地などの生態系タイプごとに多数の場所で継続的に生物調査を行うものだが、湖沼については今年が一年目である。調査内容が確定する前に調査地を決めるように通達があったりして、おそらく事務局も大変だったのだろう。今年は試行的な年で、実際にやってみた上で調査マニュアルを改善するという位置づけだそうである。

抽水植物帯での調査内容は、主にヨシの調査になっており、単位面積当たりの本数やサイズを測定する。ヨシ以外の植物についてはコドラート内の出現種を記録する程度で、あまり重視されていない。温暖化影響の把握あたりが想定されているのだろうか。沈水植物・浮葉植物の調査は、もう少し生物多様性の評価に直結する内容になっている。全国統一の方法で、ボランティアに近い体制で、長期的に行うということから、おそらく苦労の末に考えられた内容なのだと思う。

このような調査はとても価値があると思う。「昔は普通だったけど、いつの間にか無くなっていた」生き物や風景を、データに基づいて指摘することができる。これからもできるだけの協力はしていきたい。まずはデータの整理がおわったら、熱のあるうちに調査マニュアルの改善提案を整理したいと思う。

2009年9月14日月曜日

日帰りで一関へ

今日は急を要する作業のため、日帰りで一関へ。一日肉体労働で明日の筋肉痛は必至。

そういえば、先週の一関調査でみたこのムシ、何だろう。



サナギだと思ったら歩いた。何かの幼虫かな?想像もつかない。ご存知の方、教えてください。

2009年9月11日金曜日

3日連続の霞ヶ浦通い

9月9-11日は3日連続で霞ヶ浦(浮島)に通い、植生調査、実生の生存率調査、バイオマス測定のためのサンプリングを終了。8月末からのフィールドの連続で、さすがに疲れてきた。学生の頃はどんなに疲れても一晩寝れば回復していたが、最近ダメだなぁ。今月38歳になるのでこれが普通なのかもしれないが。

2009年9月8日火曜日

ソロモンの歌

トニ・モリスン(金田眞澄訳)「ソロモンの歌」読了。

今年読んだ小説で間違いなく一番面白かった。
いろいろな読み方ができる小説だが、ぼくは、閉塞感のある時代や社会に対する3通りの対応を描いた小説として読んだ。3通りの方法の一つは「荒れる」、2つ目は「空に飛んで逃げる」、3つ目は「一度も地上を離れずに飛ぶ」である。3番目の方法はもっとも幸せそうだが、それを実現している人物(パイロット)は、臍をもたない、超人的に人間とした描かれている。結局、荒れるか・逃げるか、になってしまうということか。パイロットについての記述がもっと欲しかったが、その思わせぶりなところが小説の魅力になっている。この著者の作品は初めて読んだが、他の小説も読んでみたい。

2009年9月4日金曜日

9月の一関

9月3-4日は「久保川イーハトーブ自然再生事業」が進められている一関へ。5月に植生調査を行ったサイトで、研究室OBのO君と秋の植生調査を行った。第二次生物多様性国家戦略以前はほとんど注目されなかった「里山の自然」は、ここ数年では新聞などでも頻繁に取り上げられるになっている。私がみたことのある場所の中で、もっともすばらしい「里山の自然」が残されているのは、この一関である。

今回はちょうど畦にアケボノソウが咲く季節。

初めて見た植物(O君に教えてもらった)ツガルフジ


農業のための畦草刈りやため池管理が生み出した環境と、それをうまく利用して生育する生物。ほんの30-40年前は日本中で普通だったのだろうこの景色が、残っている場所は本当に限られている。


連日のフィールドワークに悲鳴を上げるように、長靴に二箇所も穴が開いた。今回のは寿命6ヶ月だった。

2009年9月2日水曜日

9月の浮島調査開始

大学院生のW君と浮島湿原で光の測定。
測定に適した「陰」の天気で、まま順調に作業終了。9月に予定してる調査は項目が多いので、植物のフェノロジー、気象条件などを考えて能率よく進める必要がある。フィールドワークで良いデータをとるには「段取り力」が不可欠だが、W君は確実にそれを身につけてきていて、本当に頼もしい。

2009年9月1日火曜日

8月の三方湖

今年から新しいフィールドとして通い始めた三方湖。
7月30-8月1日はヒシの個体群調査に行ってきた。今年は昨年ほどではないがヒシは多めとのこと。
ヒシの増減に影響する主要な要因を明らかにし、動態予測モデルをつくることが目標。在来種ながら、ときに厄介者扱いもされるヒシとうまく折り合いをつける助けになればと考えている。

今回の調査タイミングでは、花が少し残り、まだ成熟種子はほとんどない状態だった。種子採取にはもう一度訪問が必要そうだ。一度「種子から育てる」経験をするといろいろなことがわかる。この後の過密スケジュールを考えると、良いタイミングで行けるかが若干不安だが、現地の方と相談しながら進めたいと思う。