修士2年のIさんと、北浦流域の谷津の耕作放棄地や休耕地の調査。前回の調査では密度の濃いヨシ原になっている場所を中心に見たが、今回は、植生がまばらで明るい湿地になっている場所をいくつか見た。
ミズニラ(左)はかつて田んぼの雑草、今は絶滅危惧種。ミゾカクシ(右)は田んぼの畔を飾る可愛らしい花。
谷津の奥部は耕作されていない場合が多いが、一部で、無農薬・無化学肥料の稲作をしている場所もある。除草剤を使っていない田んぼは当然ながら「雑草」が豊かだ。今日もシャジクモがたくさん生えた田んぼを見せてもらっていたら、ちょうどその田んぼを作っている方とお会いすることができ、楽しい話をいろいろ聞いた。
コナギの繁茂はイネの生長にかなり影響するとのこと。駆除にだいぶ手間をかけておられた。コナギも美味しいですけどねー、とシャリシャリ食べて見せたら、驚かれた。コナギやミズアオイは水葱(なぎ)といって、昔から食用にされてきた植物だが、ご存じなかったようだ(おそらくもっと美味しいものに恵まれていたのだろう)。なぎを食べる話は宇治拾遺物語にもでてくるが(京都・錦通りの由来の話)、おそらくもっとずっと昔、湿地の植物を利用し始めた人々は、イネと同時にこのような水生植物を食べていたのではないだろうか。
コナギやミズアオイの味や歯ごたえは生育環境によってずいぶん変化する。面白いので、見かけるとつい口に運んでしまう。有機農業のおじさんの田んぼのコナギは、水が深いせいかやわらかく、ちょっと塩味がきいて(ミネラルが豊富?)、とてもおいしかった。
シャジクモの林を泳ぐマツモムシの腹側ショット。 防水のデジカメを田んぼの中に沈めて上向きに撮影。
途中で激しい雨にも降られ蒸し暑い一日だったが、夏の谷津田を楽しんだ。夕方までいてホタルも楽しみたいところだっけど、夜仕事が・・・